フラワーオブセッション

 ザリピエ、なぜあなたは花を描きつづける?

ザリピエ Zalipieは、ポーランド南部の中心都市クラクフから120kmほど離れた小さな村。日本から観光客が結構来るそうだ。私は今回はじめて行った。ポーランドのフォークロアをさがしてるくせに、今まで知らなかった。ポーランド人も知ってる人は少ない。

一見ただの、よくある寂れたポーランドの田舎。でも村の中に入っていくと…。でたでた!色とりどりの花の描かれたおうちが。日本人観光客はひとりのこらず叫ぶだろう、「かわい~!」と。


だけど、ここはいわゆる観光のために作られた民俗村ではない。これは100年以上前から代々受け継がれてきたこの村の伝統。木の家がよごれてきたら塗り替えるけど、そのとき、真っ白じゃつまらないな、と誰かがおもって、花の絵を描き始めたらしい。 こんな古い木の小屋にのこってるのもあるし、新しい家にかいたものもある。確かにかわいい。おとぎ話に出てくるみたい。


最もむかしは、農民がこんな鮮やかな塗料を入手するのは難しいから、すすけて黒くなった木地に白一色で描いたりとか、木の実や野菜などで作った塗料で描いていた。


おっと、空き家発見!いくらするんだろう、買ってもいいですか?


親から子へ、主に女性の手で描かれてきた花たち。住んでる人たちに聞くと、ああ、妻がかいたんだよ、とか、 おばあちゃんがかきのこしたんだよ、と答える。娘たちも小さいころから見よう見まねでかき始めるらしい。



小さなミュージアムで昔の家の中のインテリアが見られる。こんなに色とりどりの花に四方を囲まれてたら、ちょっとつかれないかな。


公式のミュージアムではない、今も普通に住んでる人の家のなかも、花だらけのインテリア。
ちょっとここまでくると、キッチュだけどね。まあ、プリミティブ・アートというのは、嫌いな人にはキッチュでしかないわけだけど。民芸とは、農民たちが自分の生活を便利にしたり、楽しくしたりしようとしたところから生まれたものだし。

おばあちゃんが、こころよく、無料で部屋の中を見せてくれたが、生活が大変だという話をしてきたので、娘さんが描いたという絵を、ちょっと高いけど買う。手作りケーキをご馳走してもらった。
察したとおり、ポーランドの田舎の村がほとんどそうであるように、ここの生活も苦しい。もっと、観光客のためにサービス業や施設を充実させるとか、皆で一緒になって村おこし、ということを、現実やペシミズムに押しつぶされて、できずにいるのが現状なのだ。


絵だけでなく、昔は服にこんな花の刺繍をほどこした。いまでは、刺繍の手仕事をする人は、この村でおばあさんがふたり残っているだけだそうだ。めんどくさいことは、若い世代になかなか受け継がれない。
こういう刺繍がしてあるベストとか、ブラウスとかの民族衣装は、代々受け継がれるものだから、新しくつくるのは、民俗舞踊団が注文してくる衣装くらい。



それにしても元気なおばあちゃんたち!
色とりどりの花がパワーをくれるのかな。暗い、つらい、田舎の生活、こんなたくさんの花の絵を描くのは、生活を明るくしようとする努力、こうでもしなきゃ生きていけないよ、ということなんだろうか。
だけど、何でまた花ばかりなのかな。

描いてるうちに、じゃあ蝶々とか、鳥でも入れてみようとか、思った人はいなかったのかな。
なんで花にこだわったのだろう。

オブセッションともいえるこのこだわり方は、ちょっと、私に、Seraphine Louisの絵を思い出させた。この人も、ただの田舎の掃除婦だったはず。空間を花で埋め尽くす情熱を持った。。。


こんな辺鄙な、交通手段も不便なザリピエに、わざわざ、外国から、日本からも、毎年、結構観光客が来るそうだ。 日本のテレビの取材も二回、あったという。

だけど、花の絵が描かれてる家が、隣り合って立ってるわけでも、親切な案内があるわけでもない。家から家までの距離 が結構あるから、徒歩でまわるのは一日仕事だ。

おなかがすいた…。レストランか喫茶店を探してみたが…。聞いてみると、「レストラン?ひとつあるけどね、あそこに食べ物はな いよ」という答え。
 日常品や食品を置いてある小さなお店が二件、品揃えは乏しい。しょうがないから、パンを買ってかじる。


出会った人たちに、貸し自転車やさんとかやったら観光客は便利なんじゃない、とか、外国から来たお客さんが喜ぶような喫 茶店とかつくったら、話題になってもっとたくさん人が来るよ、とか提案してみた。私はおせっかいな人間だ。
…が、かえってくるこたえは、きまって、「やったって儲からないよ、税金が高いし、観光客はシー ズンだけだから。」
最初から負け越し。やってみなきゃわからないし、村中で協力してやったら何かできるんじゃない、と思うんだけど。

毎年6月に、花の絵を描くコンクールが催される。本当のフォークロアに会いたい人、 おすすめ。

コメント

  1. こんにちは
    ポーランドを紹介するサイトを日本語で作っていていろいろ資料集めでここのサイトに流れつきました。
    こんにちは
    ザリピエはポーランドを紹介する番組で紹介されていました。あと、ポーランド観光局のブログや、ポーランドに関する本でも
    可愛い村として紹介されていました。なので日本人がけっこう行くのかもしれないですね。
    ポーランドのフォークロアはいろいろなものがありますね。エリアによってちょっとずつ違うなどあって奥が深いなあと感じています。
    日本でけっこうポーランド雑貨好評なのでビジネスチャンスはあると思うんですよね。
    レースの下着で村が活性化したコニャクフ村みたいな例があるので、伝統のもので村が豊かになればいいですね。

    返信削除
  2. コメントありがとうございます。どんなサイトですか?ご紹介するので、教えてくださいね。ごらんのように、気ままに好きなときに好きなことかいてるので、あまり参考にならないかもしれませんが、時々ご訪問ください。

    返信削除

コメントを投稿

人気の投稿